寝るまえに絵本を読むのは、大人にもおすすめ。
もしかしたら、不眠も解消されるかも
寝るまえにYouTubeやゲーム、ネットサーフィンをしてると、眠りが浅くなるのはよく知られてることです。
- 話が短いので、続きが気になるということがない
- 字を読みたくなければ、絵だけ眺めていてもいい
- ブルーライトを浴びないので、睡眠が浅くならない
毎日7時間以上眠れたら言うことありませんが、忙しいとなかなかそうもいきません。
なので、睡眠の質が勝負だと思っています。
寝るまえの絵本が、睡眠の質を高めてくれるんじゃないかと感じています。
この記事では、寝るまえに読むのがよさそうな絵本を10冊厳選しました。
- 1 「ねるじかん」鈴木 のりたけ アリス館
- 2 「ゆけ! ウチロボ!」サトシン / 作 よしなが こうたく / 絵 講談社
- 3 「ふしぎなおきゃく」肥田 美代子 / 作 岡本 颯子 / 絵 ひさかたチャイルド
- 4 「12にんのいちにち」杉田 比呂美 あすなろ書房
- 5 「ホッキョクグマと南極のペンギン」ジーン・ウィリス / 文 ジャーヴィス / 絵 青山 南 / 訳 BL出版
- 6 「きょうはそらにまるいつき」荒井 良二 偕成社
- 7 「怪物園」junaida 福音館書店
- 8 「たいふうがくる」みやこし あきこ BL出版
- 9 「お月さんのシャーベット」ペク・ヒナ 長谷川 義史 / 訳 ブロンズ新社
- 10 「たんぽぽライオンのゆめ」たなか ようこ 化学同人
「ねるじかん」鈴木 のりたけ アリス館
【ざっくりまとめると】
男の子が夜遅くまで起きていると、魚の宇宙船が飛んできたり、郵便ポストが歩いたり、迷子の恐竜のこどもに出会ったり、昼間とはちがう世界に迷いこんだ。
【見どころ】
電線を渡って手紙を届けるポストたち
【ジャンル】
サルバドール・ダリ的なユニークな異世界
夜の異次元世界
ふだん起きてることが許されない夜や、行ったことのない町とかは、こどもにとっては想像の宝庫だ。
この目でみてみないことには、夜が昼とまったく同じかどうかはわからない。
これ以上むこうの世界は知らない、という一種のフロンティアは、大人になるにつれ、どんどん消えていく。
少々さみしいが、大人には大人の、未知の体験を開拓していく楽しみがある。
自分の意志で富士山に登ってみるとか。
そういう、未知の物事の裏側をみてみたい、という気持ちはこどもと変わらない。
だから「ねるじかん」を読むと、ワクワクする。
大人の根っこをくすぐるのだ。
遊び心がつまった鈴木のりたけの絵本どんな絵本作家さん?濃厚な色づかいで、ダイナミックな絵を描くのが特徴です。内容はシュールだったり、おふざけだったり、ユーモアたっぷりだったり、作品によって、それ[…]
「ゆけ! ウチロボ!」サトシン / 作 よしなが こうたく / 絵 講談社
【ざっくりまとめると】
腕っぷしの強い親友に殴られたよしお。その場でやり返せなかった悔しさを晴らすべく、自分ん家のコクピット(押入れ)に乗りこみ、ウチロボを発進させて仕返しにむかう。
【見どころ】
入浴中の親父さんを風呂釜ごと発射
【ジャンル】
和風リベンジスペクタクル
和式ガンダム
小学生くらいだと、仲良く遊んでいたのがいつの間にか喧嘩になってる、ということはよくある。
よしおの場合も、サッカーでわいわい楽しんでいたのが、身に覚えのない何かをやらかして「てっちゃん」にキレられた。
殴られて鼻血を出して完敗。
よしおの悔しさや怒りが、気持ちがいいくらいダイナミックに描かれている。
だれだって、悔しいときはこれくらい頭の中は暴走してる。
そして、出てくる人物がみんな、感情と表情が直結してるのがおもしろい。
クスッと笑えるし、最後のシーンはすがすがしいし、寝るまえに読むのにちょうどいい。
「ふしぎなおきゃく」肥田 美代子 / 作 岡本 颯子 / 絵 ひさかたチャイルド
【ざっくりまとめると】
大繁盛のラーメン屋「とんちんけん」に、変装したような格好のあやしげな客が訪れるようになったのだが、いつもほんのちょっとしか食べずに帰ってしまう。気になって仕方ないラーメン屋の主人は、ついに尾行してみることに・・・。
【見どころ】
昔ながらのラーメン屋の落ち着く店内
【ジャンル】
のれん分けサスペンス
ラーメン屋のミステリー
まず昔の漫画のタッチを思わせる絵が、抜群のリラックス効果をもたらすと思う。
赤が基調の店内は、いかにもラーメン屋らしい雰囲気。
昼のいそがしい時間のあと、店主のけんさんが厨房でコーヒー休憩をとってるのも、ほのぼのしていて、いい感じ。
お店の主人の休憩中の様子って、僕はすごく気になる。
そんな一コマが入ってるところも、この絵本がお気に入りの理由のひとつだ。
けんさんの毎日はラーメン一筋の地道な日々。
いつもの日常に、不思議なものがまぎれこんでくる。
それは毎日おいしいラーメンを作り続ける、けんさんへのご褒美のような気がする。
「12にんのいちにち」杉田 比呂美 あすなろ書房
【ざっくりまとめると】
小学生、ペンキ屋さん、看護師さん、消防士、おばあさん、ライオン、銅像、テレビ記者、パン屋さん、小説家、配達屋さん、赤ちゃんたち12名の一日を、2時間ごとに生中継。
【見どころ】
12人の一日がどこかでつながることもあるよ
【ジャンル】
町ぐるみ群像劇
12人の生活をまとめてのぞき見
ページをめくるたびに、2時間後の町の様子と、主役たち12人の今が一目で見られるようになっている。
朝と昼の空の色が微妙にちがっていたり、ページの隅っこから雨雲がのぞいていたり、町の時間もちゃんと進んでるのがわかる。
この絵本はただページをめくって眺めるより、12人のキャラを把握しつつ、町の動きをつぶさに観察したほうがおもしろい。
主役たちのズームアップと、町のパノラマシーン、どこがどうつながってるか、確認しながら読んでいくのがおすすめ。
一日は十人十色。
そんな当たり前のことにほっとすることがある。
「ホッキョクグマと南極のペンギン」ジーン・ウィリス / 文 ジャーヴィス / 絵 青山 南 / 訳 BL出版
【ざっくりまとめると】
南極のペンギン一家がピクニックに出かけたところ、道に迷って北極まで来てしまう。そこで出会ったホッキョクグマといっしょに、ピクニックにぴったりの場所を求めて世界旅行。
【見どころ】
ヴェネツィアの運河で、ホッキョクグマとペンギンがゴンドラでクルーズ
【ジャンル】
アニマルロードムービー
ペンギン一家とホッキョクグマの2万キロの旅
ペンギンは北極にいないし、ホッキョクグマは南極にいない。
南極は孤立した大陸で、どんなに海に氷が張っても、ほかの大陸まではつながらない。
だからホッキョクグマのような陸の動物は南極にいないのだ。
逆に、ペンギンが北極にいないのは、南半球で誕生したペンギンが、赤道まわりの環境に適応できず、北へ来ることができなかったから。
そんな両者が出会い、世界を旅する話。
この絵本はどのページも、美しいポスターや美しいポストカードのようだ。
惚れ惚れするくらい、絵が上手い。
「きょうはそらにまるいつき」荒井 良二 偕成社
【ざっくりまとめると】
夜、赤ちゃんが、バレエの練習帰りの女の子が、クマが、運動靴を買った男の子が、猫が、仕立て屋の女性が、クジラが、それぞれ見上げる空にまるい月。
【見どころ】
美しい満月の夜
【ジャンル】
フルムーン
明るい夜
いそがしく過ごしていると見過ごしがちだけど、今夜はやけに明るいと思って、満月に気づくことがある。
夜に出歩く習慣がないので、月の事情にうとい。
たまに満月を見つけると(ほんと見つけるといった感覚)、けっこううれしいもので、4歳の娘とならんでしばらく眺めてたりする。
満月には不思議な魅力と、不思議な引力があるようだ。
満月の夜は、動物たちが落ち着かなくなるというし。
人間も何かしら影響があるかもしれない。気づいてないだけで。
「怪物園」junaida 福音館書店
【ざっくりまとめると】
たくさんの怪物を乗せて旅をする怪物園。
ある夜、怪物園が眠っているあいだに、怪物たちがどんどん出ていってしまう。
街の人たちは怖くて、何日も外に出歩けなくなった。
退屈した3人のこどもが、空想遊びでダンボールのバスの旅へ。
風船の気球、バスタブの船、バスタブの潜水艇になって遊ぶうち、空想の海底で怪物たちの行列に出会う。
お家を探している怪物たちを怪物園に送り届けると、あくる朝・・・。
【見どころ】
植木の街や木の葉の海を行く、壮大な冒険
【ジャンル】
美モンスター・ファンタジー
空想は美しく
不気味で異様な怪物園と怪物たちだが、整っていて、なんだか清潔感もあって、醜いというより美しい。
しかも、礼儀正しく行列を作って、見るからにゆっくり歩いているので、祭りのパレードみたいで、緊迫感はない。
見どころはこどもたちの空想の冒険だ。
植木と草花とヨーロッパ風の家々が混合した、水辺の町。
のっぽの植木のてっぺんに、双子の灯台。
というような、夢のあるファンタジーがjunaidaはうまい。
この絵本の世界では、怪物たちがいる世界は現実だ。
その世界で、こどもたちが空想し、怪物たちのいる現実へ飛び越えていく。
ファンタジーonファンタジー。
怪物園がいる現実なんて、ちょっとうらやましい。
「たいふうがくる」みやこし あきこ BL出版
【ざっくりまとめると】
週末に家族で海に行くというのに、台風が接近。
金曜日には実際に台風がやってきて、外は大荒れ。
明日の海をあきらめきれない「ぼく」は、夢の中でプロペラ付きの船に乗って台風を追いはらう。
翌朝、目がさめると・・・。
【見どころ】
臨場感たっぷりのカメラアングル
【ジャンル】
台風バトル
台風はいつもタイミングが悪い
少年の「ぼく」は家族と海に行くのを楽しみにしている。
海のシーズンは台風のシーズンでもある。
最近は台風のシーズンが長くなったので、付き合いも長い。
台風で困るのは通勤や通学だが、それ以上に、お出かけの計画を潰されるほうが影響が大きい。
我が家では、暑い8月に、涼しい大分の九重へ旅行するのがお決まりになっている。
これまで、何度、台風と日程がぶつかることになったことか。
だから九重では、晴れた思い出より、荒れた天気の思い出のほうが多い(そう簡単には旅行はキャンセルしない)。
この絵本の少年にとって、週末の台風はとんでもない災難だ。
こどもにとっては、一週間の延期なんて、あまりに遠い未来に感じられるだろう。
だから、朝目覚めたときの少年の感動がどれほどのものだったか。
「たいふうがくる」は、みやこしあきこのデビュー作。
最近の作品では登場人物が動物であることが多いけど、この作品では人間が描かれている。
ぎこちない部分はあるものの、ほかの作品よりもダイナミックかもしれない。
台風というテーマにふさわしく。
「お月さんのシャーベット」ペク・ヒナ 長谷川 義史 / 訳 ブロンズ新社
【ざっくりまとめると】
夏の夜、暑くて眠れないおばあちゃんがベランダで涼んでいると、月が溶けてしずくが落ちているのに気づいた。
おばあちゃんは月のしずくをたらいに集めて、シャーベットを作ることに。
マンションの部屋はどこもエアコンや扇風機の使いすぎで、ついに停電。
唯一、月のしずくで明るかったおばあちゃんの部屋に、みんなが集まってくる。
シャーベットを食べると暑さがひいて、エアコンなしで眠れる。
すると、こんどは月に住むうさぎたちがおばあちゃんの家にやってきて・・・。
【見どころ】
やさしく光るシャーベット
【ジャンル】
月のスイーツ
月がとけるほど暑い熱帯夜
月が暑さでとけるという発想が、ステキすぎる。
しかも月のしずくで冷たいシャーベットを作るという、美しすぎる展開。
イメージだけど、月のしずくは、溶岩のような粘度があって、熱そのものの光を放つ(熱くはなさそうだが)。
光るシャーベットなんて、一度たべてみたい。
ペク・ヒナはこれまで人形を使っていたが、今回は登場人物を紙に描き、ミニチュアのセットに置いて動かしている。
あのペク・ヒナの代名詞とも言える、個性が爆発した人形を封印したわけだが、これはこれでユニーク。
動物たちが、衣服があんまり似合ってないところとか、ちょっと不気味な顔をしてるところとか、なんだかペク・ヒナらしい。
「たんぽぽライオンのゆめ」たなか ようこ 化学同人
【ざっくりまとめると】
たんぽぽみたいなたんぽぽライオンは、旅に出る。
汽車に乗り、ひつじに乗り、船に乗り、行き着いたところは大都会。
慌ただしい街の雑踏から逃れ、映画館に入ると、飛行機で空を飛ぶ夢をみる。やがてたんぽぽの綿毛となって・・・。
【見どころ】
モノクロの中のたんぽぽの黄色
【ジャンル】
ダンデライオン・ジャーニー
放浪たんぽぽ
シンプルでわかりやすい絵とストーリー。
モノクロでサイレント。
色は黄色だけで、文字はひとつも出てこない。
シンプルでわかりやすいのだが、一見して独自のユニークな絵で紡がれた絵本だとわかる。
このような質感の絵は、たぶんほかに見たことがない。
リトグラフともちがう、独特のまろやかな絵。
調べてみると、すすや粘土でできたチャコールステイックを粉状にしたものを、画用紙に撫でつけてはスプレーでかためるという作業を延々とくりかえしたらしい。
この塗る作業だけで4ヶ月かかったという。
このやさしい黒の世界に、たんぽぽライオンの黄色がよく合う。
(後半に登場する飛行機もおなじ黄色)
ちょっとぼやけたような世界は、タイトルのとおり、全部たんぽぽライオンの夢なのだろう。
たんぽぽの美しい夢。
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