【大人向けおすすめ絵本12選】図書館司書がシチュエーション別に厳選

  • 2021年2月21日
  • 2023年10月31日
  • 絵本
  • 大人向けの絵本を探してるけど、どんな絵本を読みたいのか、自分でもよくわからない
  • 探すにも多すぎるし、本屋とか図書館に行くの面倒
  • 自分の経営してるお店に絵本を置きたいけど、選ぶ時間がない

この記事では、シチュエーション別(悩み、気分など)に絵本を紹介してます。

 
トマもぐ
ちょっとちがう角度からみると、おなじ絵本がちがってみえてくる、なんてこともあるかも。

絵本は脈絡がない話が多いですけど、いいかげんに見えて、意外と一本、線が通ってたりします。
そこを自由に解釈してみたら、いろんなシチュエーションが浮かんできました。

勝手なお題をつけてますが、少しでも絵本選びの参考になればいいなと。

時間のない方は、それぞれの絵本につけている「どんな絵本?」の3項目をお読みください。

目次

「ケチャップマン」鈴木 のりたけ ブロンズ新社

【ざっくりまとめると】
人型ケチャップのケチャップマンが、じぶんの能力を役立てられそうな、ポテトフライ専門店に就職。
しかし、こちらの得意分野は見向きもされず、不慣れな作業に悩む日々。ケチャップマンに栄光はやってくるのか?

【見どころ】
ケチャップの海

【ジャンル】
ケチャップパニック

こんなことをするためにこの業界で働いてるんじゃないとふてくされたときに読む絵本

ケチャップマンは市販のケチャップではなくてお店に置いてあるようなボトル型。
顔はなくて腕と足が出ているのがリアル。

写実的な絵なので、ケチャップマンという存在がシュールだ。

ケチャップマンの透明な体には彼の能力(ケチャップ)が丸見え。
なのになかなか誰からもそこを見てもらえない。
ケチャップなんてありきたりで、あらためて注目するようなものでもないから。

他人より秀でることはけっこう難しい。
かといって雑務を機械みたいに正確にこなせるわけでもない。
ケチャップマンもそんな壁にぶちあたってしまう。

でも誰だって、地道に仕事をしていれば、ふとしたきっかけでプチブレイクするかもしれない。

ケチャップマンはある事件がきっかけでプチブレイクを果たしたけど、間違えちゃいけないのは、それと人間が偉くなることとは別のこと。
ケチャップマンはそこをわきまえているのが偉い。

 
トマもぐ
鈴木のりたけは「絵本作家図鑑」でも取りあげてるよ。
絵本作家図鑑

遊び心がつまった鈴木のりたけの絵本どんな絵本作家さん?濃厚な色づかいで、ダイナミックな絵を描くのが特徴です。内容はシュールだったり、おふざけだったり、ユーモアたっぷりだったり、作品によって、それ[…]

「いつまでも、鰐」レオポルド・ショヴォー 高丘 由宇 / 訳 文遊社

【ざっくりまとめると】
くりかえし愛するものを食べてきた年老いたワニの話。

【見どころ】
ひ孫を丸飲み

【ジャンル】
愛と孤独

年だなと実感したときに読みたい絵本

リューマチで体を動かせなくなった年老いたワニ。
腹ぺこで隣に寝ていたひ孫を食べてしまう、というちょっと衝撃的なシーンから物語は始まる。
表紙の絵でワニが丸飲みしようとしている相手が、ひ孫なのだ。

単なるワニの共食いじゃない。
擬人化されてるから、人間社会をみているような気にもなる。

ひ孫を殺された家族は嘆き、年老いたワニを殺そうとするけど、長年生きてきた年老いたワニの皮は厚すぎて傷ひとつつかない。
それは体だけのことじゃなく、心のことでもあるようだ。

年老いたワニが家出したあと愛したのはタコだった。
愛するには微妙な相手だ。だって食べれるから。

愛することと、おいしいことがごっちゃになってしまうじゃないか。
それはともかく、この年老いたワニのたどった道程が、どこか人の一生を思わせるところがあるのは間違いない。

「かものはしくんのわすれもの」かないずみ さちこ 大日本図書

【ざっくりまとめると】
物忘れが深刻なかものはしくんは、帽子や服だけじゃなく、体の一部もどんどん置き忘れていく。

【見どころ】
かものはしくんの中身

【ジャンル】
チャーミングホラー

自由を追い求めたい気分のときに読む絵本

一見どこにでもありそうな絵本なのだけど、内容が型破りなので、大人たちが手に取るとちょっとざわつくかもしれない。
かものはしくんは自由、というかきわめてマイペースだ。

すごくいいやつで、屈託なさすぎというか、おばあちゃんの誕生日におめかししてプレゼントを届けにいく道中、気持ちがいいくらい思いのままに寄り道をしては、大事なものを落としていく。

かものはしくんは大人たちの子供時代の分身のようだ。
あの危なっかしい感じは、おおらかで自由でもある。

社会でがんじがらめの気分を味わってるとき、かものはしくんスタイルは効果があるかもしれない。
どうにも息苦しいときは、何もかも脱ぎ捨ててしまえばいい。
現実に外で実行するのはまずいけど。

「ワタナベさん」北村 直子 偕成社

【ざっくりまとめると】
両手鍋のワタナベさんが自分のスペックを一新するような難題に挑む話。

【見どころ】
ハイスペック鍋

【ジャンル】
おしゃべりキッチン用品

料理にまったく自信ないけど調理家電があれば飲食店やれるんじゃない?と夢見たときに読む絵本

鍋ひとつがモットーの両手鍋のワタナベさん。
文字通り身ひとつでお店を切り盛りしている。料理に使える道具は自分だけ。

煮込む料理ならなんでも得意だから、近所の奥さまたちから大評判でいつも繁盛している。

おでん、ちゃんこ鍋、ロールキャベツ、カレー、クリームシチューなどなど、材料をまとめて入れさえすればおいしく出来上がり。

お客さんが自前の鍋を持って並んでいるのがなんだか昭和感があっていい。
鍋を持参して、買った鍋料理を入れてもらうというアナログな感じが、妙に食欲を誘う。

ワタナベさんは出す料理も人柄もあたたかい。
人がよすぎて(鍋だけど)、メニューにない注文も引き受けてしまう。

ワタナベさんの中身は空っぽだけど、スマート家電なみに頭がいい。
新しいものはさっそくメニューに追加するし、商売上手。ワタナベさんは人がいいだけじゃない。

「おすしのずかん」大森 裕子 白泉社

【ざっくりまとめると】
「あかいおすし」「しろいおすし」「ひかるおすし」「そのほかのおすし」「のりでまいたおすし」の順番に、ネタとその本体である魚を紹介。

【見どころ】
ペンギン職人たちによるマグロの解体ショー

【ジャンル】
食欲バトル

何の取り柄もないけど寿司ネタだけはくわしいねと言わせたいときに読む絵本

北極の氷のうえで営業している「ぺんぎんずし」。
ここの海では魚介から牛や豚や鶏まで捕れるらしい。
いろんな寿司が氷のテーブルのうえを、回転寿司のようにすべっていく。

作者の大森裕子さんはリアルなタッチの絵と、アニメーション的なかわいい絵を使い分けるのがうまい。
寿司や魚は惚れ惚れするくらいリアルに描いてあって、ちゃんと図鑑の役目を果たしている。

それとは対照的に「はっぴ」を着たりハチマキを巻いたりしてるペンギンたちは、癒やしキャラで売り出せそうなくらいかわいい。

とてもシンプルで薄い図鑑だけど、何度でも見たくなるし、そのうち魚の名前が自然と頭に入ってくるのは間違いなし。

「うどん対ラーメン」田中 六大 講談社

【ざっくりまとめると】
天下一を決める、うどんとラーメンの壮絶バトル。

【見どころ】
ラーメンモンスターVSうどん屋のおじさん

【ジャンル】
麺類バイオレンス

フードコートでラーメンとうどんで迷ったときに参考にしたい絵本

うららかな日曜日、1組の家族が遊んでるだけの静かな公園で、手足の生えたうどんとラーメンがおいしさを競いあう。

うどんとそばではないところが絶妙だと思う。
うどんとそばならどっちか選べそうだけど、うどんとラーメンだと難しい。
少なくとも僕はいつまでも選べそうにない。

ただ細かく見ていくと、うどんはきつねうどんで、ラーメンは醤油ラーメンらしい。
ラーメンにはメンマと味玉と海苔とナルトとチャーシューがついて、麺はちぢれている。

一方のうどんはおあげとネギのみだが、麺にコシがあるから讃岐風だろう。
どちらかというと、うどんは麺がやわらかめの博多うどん、ラーメンは細麺のとんこつラーメンが好きな僕には悩ましいところだ。

やっぱりうどんとラーメンの戦いくらいが後腐れがなくていい。
これがとんこつラーメン対味噌ラーメンとか、関西うどんと関東うどんとかの争いになると、無駄に頭に血がのぼっちゃいますよね。

「よるのおと」たむら しげる 偕成社

【ざっくりまとめると】
おじいちゃんの家は町はずれの何もないところで、やっと家にたどり着いた少年の耳には野生動物や汽車や池の音がくっきり聞こえる。

【見どころ】
数秒の世界

【ジャンル】
BBCネイチャー・ドキュメンタリー絵本版

長年夜の音を聞いてないなあと思ったときに読みたい絵本

あとがきによると、松尾芭蕉の俳句「古池や 蛙飛びこむ 水の音」から着想を得た作品とのこと。
この短い言葉のなかに、時間や生物の動きや世界の音が凝縮されているように、「よるのおと」もわずか数秒の世界をとおして、なにやら宇宙的なものを描いている。

キーになるのは音だ。
ここには人工的な音はひとつもない。

汽車も含めて、なんだか原初的。
この絵本は読もうと思えば、10秒あれば読み終えられる。

でも好きな人は、一ページ一ページを大事にじっくり読んでいくと思う。
全ページが絵画作品のようだから。どのページも部屋に飾っておきたいくらいだ。

「あめのひ」サム・アッシャー 吉上 恭太 / 訳 徳間書店

【ざっくりまとめると】
朝から雨が降り、少年は外で遊びたいけど雨はいっこうにやまない。
水たまりはやがて川になり、少年とおじいちゃんは船に乗ってお出かけ。

【見どころ】
雨が降りしきる灰色の屋外

【ジャンル】
どしゃ降りファンタジー

雨予報はあたるよね、と天気予報にイヤミを言いたくなるときに読みたい絵本

雨は悪者になりがち。

水不足はぜったい困ると頭ではわかっていても、目先の都合にとらわれて、雨を迷惑に感じることがほとんどだ。

雨が降ると、これができない、あれができないとなって、度合いはその時々でちがうけど、まあたいていは気分が落ちる。

この絵本の少年は雨が好き。
少年にとって、雨は単純におもしろく、日常をちょっと変えてくれる、夢のあるものだ。

でも大人は、なかなかそうはいかない。
大人が参考にすべきは、おじいちゃんのほうだろう。

雨がやむのを待つ時間を、手紙を書く時間にあててしまう。

どうせ外は雨だし、と思えば、はかどる仕事もある。

「もぐらバス」佐藤 雅彦 / 原案 うちの ますみ / 文・絵 偕成社

【ざっくりまとめると】
町の地面の下はトンネルの世界。
地中の世界の住人たちは、今日ももぐらバスに乗ってマーケットへ。

【見どころ】
もぐら建設穴掘り係のトラブル対応

【ジャンル】
プロフェッショナル地底の流儀

トラブルばんざい!と思えるほど広い視野を持ちたいときに読みたい絵本

町の下には町がある。

住民たちの顔ぶれは、もぐら、ねずみ、とかげ、スズメ、カメ、カエル。
地上ではあまりぱっとしない面々だ。

 
トマもぐ
失礼な。

手には買い物かごや巾着、頭にはスカーフやベレー帽。
エプロンをつけたまま買い物に来てるのもいる。

少々古くさい、昭和感のある住民たちの生活は、慎ましくていじらしい。
現代のようにせわしくない、のどかな生活がある。

もぐらバスは、地底の住民たちの大切な足だから、尊敬されてるようだ。

トラブルで一時間以上も足止めを食らっても、キレる乗客はいない。

知ってか知らずか、トラブルはちょっとしたギフトとイベントへと実を結ぶ。

教訓その1、トラブルは冷静に。
教訓その2、待とうじゃないか。
教訓その3、トラブルがご褒美に化けるかも。

「カ どこいった?」鈴木 のりたけ  小学館

【ざっくりまとめると】
蚊をやっつけようといろんなものを叩きまわり、公園や都会まで叩き壊す。
ついには、地球を飛びだして・・・。

【見どころ】
破壊の瞬間

【ジャンル】
平手打ちバイオレンス

蚊の気持ちになってみたいときに読む絵本

人の手の破壊力は、蚊からすればミサイルのようなもので、おっかないだろうと思う。

それがどれくらいのものか、というのがよくわかる絵本だ。

空振りして、蚊はふわふわと逃げていくが、振り落とされた手の衝撃はすさまじい。
逃げても逃げても、しつこくミサイルを撃ちこんでくる。

よく知られてることだけど、血を吸うのはメスだけ。

家で無事に血を吸ったメスは、産卵のために外に帰らないといけない。
しかも腹いっぱいの血でスピードが落ち、人に見つかったら、やばい状況だ。

蚊の人生は過酷だと思うが、かといって同情する気持ちにもなれない。

人にとって、蚊はいつも憎い。
そりゃもう、退治するときはドカンドカンやりますよね。

「チキンライスがいく。」はらぺこめがね  あかね書房

【ざっくりまとめると】
チキンライスが散歩に出ると、夕日とか亀とか、自分とよく似た形のものとすれちがう。
行くところまで行ってみたら、黄金色のものに包まれて・・・。

【見どころ】
足の生えたチキンライス

【ジャンル】
お米SF

このままでもいいけど、何かが欠けてるような気がするときに読みたい絵本

この絵本には、音楽をつけたい気がする。

たとえば、「2001年宇宙の旅」のテーマ曲なんていいかも。

「ツァラトゥストラはかく語りき」っていう、映画のオープニングに流れる、あの有名な交響詩。

「2001年宇宙の旅」もこの絵本も大げさというか、実験的というか、いい意味でぴったりだと思う。

「2021年チキンライスの旅」なんてタイトルもいいなと思ったけど、狙いすぎか。

「チキンライスがいく。」がちょうどよいようです。

 
トマもぐ
はらぺこめがねは「絵本作家図鑑」でも紹介してるよ。

絵本作家図鑑

「おいしいは美しい」を追求する、はらぺこめがねの絵本どんな絵本作家さん?原田しんやさんと関かおりさんによる夫婦イラストユニット(2011年結成)。食べ物と人をテーマに、おいしそうな絵本をたくさん[…]

「よるのむこう」nakaban 白泉社

【ざっくりまとめると】
夜行列車で帰る故郷への旅。

【見どころ】
水色の朝の景色

【ジャンル】
ゴッホ的

夢にみるほど夜行列車の旅に恋い焦がれたときに読む絵本

乗り物で眠れない僕は、夜行列車で旅をしようと思ったことがない。

それに、新幹線や飛行機がある今の世の中では、夜行列車は使う機会がないし、そもそもほとんど廃止されている。

もはや、わざわざ乗るもの、趣味や娯楽となっている。

夜行列車が盛んなのは、陸続きの国が多いヨーロッパ。

この絵本の舞台も、おそらくヨーロッパのどこかの国だろう。

nakabanは、展覧会をひらいたり、一枚一枚を販売したりする画家が本業だ。
「よるのむこう」は、絵画を集めて一冊のお話に仕上げたような、ぜいたくな絵本。

印象派みたいに、光の表現にも意識的。
原画はもっときれいだろうな、見てみたいな、という気持ちになる。

 

下の記事では、癒やされるおすすめ絵本を紹介しています。

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